「ちょっと待っててね!」
竜に玄関で待ってもらって、わたしはすばやくローファーを脱いで脱衣場に向かい、竜に貸すフェイスタオルを取りに行った。
2枚で大丈夫かな。ぼろぼろのタオルだとさすがに恥ずかしいから、この綺麗でふわふわのやつにしよう。
「竜、はい!」
玄関に戻り、竜にタオルを差し出した。
「おー、さんきゅ!」
竜は濡れてしまった髪の毛や肩まわりをわしゃわしゃと拭いだす。
細かい雨だったから、まだそこまで濡れずに済んだようだ。
あれがもし大粒の雨だったら、竜は今ごろずぶ濡れだっただろう。
「寒いよね?なんかあったかいものでも飲む?コンポタあるよ」
たしかまだコンポタ残っていたはず。
「飲みたいけど…家の人は?」
「え?まだ帰ってきてないよ。どしたの?遠慮しないでよ珍しい」
「そーゆーわけじゃねえけど…」
「わたしも飲もっかな~、リビングこっちだよ~」
言いながらリビングまで向かっていった。
コップを2つ用意し、粉末のコンポタを入れてポットのお湯を注ぐ。
するとコーンのいい香りがして、それだけでなんだかあったまる気がした。



