自分でいうのもなんだけど、わたしほど涙が似合わない女の子はいないと思う。
だって、最後に泣いたのって………ほんとにいつなのか、思い出せない。
元気と明るさだけが取り柄で………いつも笑ってた。
遥斗の隣でも、もちろん笑ってた。
あのとき遥斗は………ちゃんと笑ってたのかな。ふと分からなくなった。わたしのなかの遥斗の笑顔が……だんだんと、ぼやけていく。
自分の話しばかりしないで、遥斗の話しも、ちゃんと聞けばよかった………遥斗の顔、ちゃんと見ればよかった……。
見ていたようで、見てなかったのかも……。
だから、嫌われたのかも……。
そう思えてならない。
遥斗の特別は自分だとたかをくくって、遥斗に嫌われてはじめて、遥斗の存在がわたしのなかでこんなにも大きくて、こんなにも大好きだと気づくなんて……。
わたしには遥斗が必要なんだと気づくなんて………。
遥斗はもう………わたしのことなんて、必要としていないのに。
遥斗には百合ちゃんがいて、百合ちゃんが遥斗を支えているんだ。
遥斗も百合ちゃんを支えて、これからもっと、恋人としての仲を深めていくんだ……。
“幼なじみ”が、“恋人”に………勝てるわけがない。
涙で月が………見えなくなる。
手の甲で思い切り目をこすった。



