──
─────
夜ご飯を食べ終わり、お風呂も済ませたわたしはお茶を飲もうとリビングに向かった。
お茶を飲みながらリビングにある窓に目を向けると、外はもう真っ暗になっていた。
「笑、ついでに食器洗っといて~」
お茶を飲みほしたコップを流しに置こうとしたら、ソファに座ってテレビを見ているお母さんにそう頼まれた。
いつもだったらお母さんがすでに食器洗いは終えているはずなのに、お母さんは今、大河ドラマに釘付けになっているのだ。
わたしはよく分からないけど、すごく面白いらしい。
「はあ~い」
わたしはそう返事をして食器を洗い始めた。
「あら。一発で聞くなんて珍しい」
「いっつもちゃんとやってますけどー?」
「どの口が言うの!」
お母さんが言うとおり、いつもは一発で聞かないんだけど……今日は別。
やること全部やって、準備万端にするんだ。今日の月を見るために。
「笑、ついでに洗濯物もたたんどいて~!」
食器洗いを終えたと思ったら、また注文が増えた。
ついでについでにって、全然ついでじゃないじゃん。
しかも、食器洗いをしながら大河ドラマを観ることはできたし、洗濯物だって、テレビの前でたたんだらいいじゃないかと思いつつ、……仕方ない、今日だけはやってやろう!
そう思ってわたしは洗濯物の片付けを今までにないくらい早いスピードでちゃっちゃと終わらせた。



