「ねえ、笑ちゃん!」


優香はわたしの机に肘を置いて、まるでわたしを下から覗き込むようにしてしゃがみこんだ。


「?なに?」


優香この角度から見たらいつにも増して超可愛い。可愛すぎる。天使。


「わたし、ずっと思ってたんだけど…」


自信満々な表情を浮かべて、少しだけためる優香。口調にもそのなにかしらの自信が表れている。


いったいどうしたんだろうと思ってわたしは続きの言葉を黙って待った。


「…桂木くんって、笑ちゃんのこと、女の子として好きなんじゃない?」


「ッ!!」


優香の発言に、今度は別の意味で黙ってしまった。


「いっつも笑、笑って…どっからどう見たって笑ちゃんラブだもん」


「え、…ええっ!?」


優香がそんなことを言うから、わたしはうろたえて椅子から落ちそうになった。


笑ちゃんラブって。


──わたしには、まだ優香に言っていないことがひとつだけある。


「じ、実はね優香…」


この際、言ってしまおう。


わたしがゆっくり口を開くと、優香は異様に瞳をキラキラさせだした。いったいなにを想像しているのであろうか。


「なになに!?」


優香に言っていないこと──それは。


「……わたし竜に……告白されたこと、ある」


「ええーーーっ!!?」


いつもの優香の声より3倍以上の声量が、教室に響いた。まだ下校していない数名のクラスメイトは何事かと優香に目を向けた。そして優香はなぜかすごく嬉しそうにしている。


わたしは竜に告白されたことをしっかりと思い出して、少し恥ずかしくなった。

正直、竜とはもう完全に友達どうしだと思っていた。

だけど、優香からすると、竜は“笑ちゃんラブ”に見えるらしい………。