このあとふたりはどこに行くのだろう。
それにしても、お腹すいたな…そういえば、わたしは朝からなにも食べてない。
ふたりはお昼ご飯、どうするんだろう…。
そんな疑問を浮かべながらこりずにあとをつけていると、遥斗と百合ちゃんはカフェに入っていった。
お昼ご飯を食べるんだ。お昼時だし、そうだよね。
わたしも空腹の限界だけど……さすがにこのカフェに入って食べるとか、それはいくらなんでもまずいよね。まるでストーカーみたい。
カフェの前に立てられている看板に書かれた新作パスタを美味しそうだなと若干思いつつ、本来の目的であるケーキ屋へと戻ろうとした、そのとき。
「──おー、笑!偶然だな!」
後ろから聞き慣れた声と口調で話しかけられ、パッと振り向くとそこには思いがけない人物、竜が立っていた。
「竜!」
わたしは今まずいことをしている最中なので、内心ひやひやしている。
「そんなところに突っ立って、なにしてんだ?」
不思議そうに尋ねてくる竜。
遥斗と百合ちゃんのデート現場をストーカーしてます、なんて言えるわけないだろう。



