いったいどこに行くんだろう。
今日、お客さんが多くてよかった。人混みに紛れることができる。
あとをつけるだなんて、自分でも引くような行動だけど……どうしても二人が気になるのだ。この気持ちはおさえられなかった。
少し進んで、ふたりは本屋に入っていった。
とてもふたりらしいと思った。遥斗は小説が好きだし、きっと百合ちゃんもそうなんだろう。
わたしは遥斗と本屋なんて、来たことない…。
遥斗とじゃなくても、小説に興味がないわたしは本屋に入ることはめったにない。
中学生のころ、少女漫画を集めていたときに月に一度学校帰りに漫画を買うために立ち寄っていたくらいだ。
奥の棚へと進んで行ったふたりは………ふたりともが気に入っている小説なのだろうか、すごく、盛り上がってる。
きっと、わたしと優香と竜がドラマで盛り上がるのと、同じことなんだ。
当たり前だけど、カップルにしか見えない…。
ほんとにほんとに、お似合いだ……。
わたしは漫画ばかりで、遥斗から小説をすすめられたって、見向きもしなかった。
そんな自分を今さら深く後悔する。
遥斗のお気に入りの小説くらい、読んでおけばよかった……。
教えてもらったことがあるのに、お気に入りの小説がなんだったのかも、はっきり思い出せなかった。
それからふたりは30分ほどで本屋をあとにした。



