冷たい幼なじみが好きなんです



「…ゴールデンウィーク明けに、突然…?」


わたしの話を聞き終わった優香は、とても困惑した表情を浮かべ、手のひらを口元に持っていった。


「その遥斗くんっていう人って…この前、笑ちゃんに時計を渡しに来た人だよね…?」


優香はあの日の朝のことを思い出したように言った。


「うん。あのときも、お礼言いに言ったら、うざいって言われて…しかも、あの時計は遥斗がくれたものなのに、捨てとけばって…」


言いながら、泣きそうになってきた。

遥斗にああ言われてから、わたしはチャーム時計をカバンの外側のポケットにしまうことにした。今もポケットの奥底に、眠っている。


「…笑ちゃん、もしかして…」


優香にじっと目を見つめられ、その顔が可愛くてついどきりとした。


「遥斗くんのこと、好きなの?」


「っえ!?」


今度は別の意味で、またドキッとしてしまった。


予想外の質問に驚き、目を丸くしてしまう。


わたしはまだ、遥斗を“幼なじみ”としか、言っていないのに。“好きな人”とは、言っていないのに。