体育祭のあと、俺は桂木にお礼を言いに行った。


「…ありがとな」


「えー?なんだってー?聞こえねーなー?」

とか言いやがるからまじでうざかった。


あとは…百合と話をするだけだ。


百合に心から“ごめん”と“ありがとう”を伝えると、なぜか俺がお礼を言われた。


そして最後に笑顔でこう告げた。

「絶対遥斗くんよりいい人見つけるから!」って。


百合。

お前なら大丈夫だよ。

百合は言おうとしなかったけど、百合があのオープンキャンパスで隣の席に座っていた女の子ということを、俺は最初から気づいていた。


百合なら絶対幸せになれる。


こんな俺を好きになってくれてありがとう。


俺のほうが、百合に感謝の気持ちでいっぱいになった──。