「ぐす………っ」


もうすぐ午後の部がはじまると言うのに、わたしは空き教室で一人、泣いていた。


………………遥斗くん………好きだった。大好きだったよ。


『──大丈夫?』


あのときわたしのことを助けてくれて、ほんとうにありがとう。


大げさだって思うかもしれないけど、わたしはあの優しさひとつで………生まれ変われた。


太っていて自信のなかった自分から。

勉強から投げ出していた自分から。


遥斗くんがいなかったら、わたしは今も、言い訳の日々を過ごしていただろう。


遥斗くんに出会えてよかった。


わたしと付き合ってくれて………ほんとうにありがとう。


この二ヶ月半の出来事は、きっと一生忘れない。


それは………悲しい失恋なんかじゃなくて、

心から「ありがとう」と言える

愛しい初恋。


*end*