わたしはその夜、中3のときに交換していた桂木の携帯に電話をかけた。


「ねえ。佐倉さんといつから付き合ってるの?」


第一声にこれを聞いた。


『なんだよ、いきなり。笑のことだよな?付き合ってねーよ』


桂木の返答にえ?と思いながらも、桂木はゴールデンウィーク前に佐倉さんに告白しフラレたことをそのあと聞き、ふたりの関係性がなんとなく見えてきた。


「桂木、協力してほしい」

『………?』


太っているときはプライドなんてなかったけど、今のわたしはプライドくらい多少ある。


ただふつうに遥斗くんと別れてあげるなんて、したくない。


遥斗くんのあのクールな仮面を剥ぎ取ってやりたい。


佐倉さんのことが好きでどうしようもないっていう感情をみんなにさらけ出させてやりたい。


彼の本音をあばくのは、桂木に協力してもらうのが一番いい方法だと思った。


遥斗くんはおそらく、桂木と佐倉さんが付き合っていると勘違いしている。


遥斗くんは、もっと頭のいい男の人かと思ってた。


どうやら彼は、佐倉さんのことになると………どうしようもないくらい、馬鹿な子供になるらしい。