遥斗くんに「佐倉笑」という幼なじみがいることは、一年のときから知っていた。
一緒に下校しているのを見たときは、彼女かと思ってショックを受けた。
でも、ただの幼なじみということを後から知って安心した。
それに、あの佐倉さんという人は今桂木と付き合っているようだ。
初デートにショッピングモールのカフェで昼食をとっているときに、遥斗くんが言っていた。
だからわたしは彼女のことは完全にノーマークだった。
……まさか、遥斗くんがあのとき『付き合おうか』と言ったことに、佐倉さんが大きく関係しているだなんて思いもしなかった。
バケツをひっくり返したかのようなどしゃ降りの雨が降った次の日、遥斗くんは朝から体調がわるいと言っていた。
三時間目の授業のあと、あまりに顔色がわるかったためわたしは保健室に行くことをすすめた。
四時間目のあいだ、遥斗くんが心配で授業なんてまったく集中できなかった。
授業が終わった瞬間に、わたしは教室を飛び出した。
すぐさま遥斗くんが休んでいる保健室へと向かった。



