「笑………」


遥斗はわたしの名前を愛おしそうに奏でて……もう一度、わたしのことをぎゅっと抱き締めた。


両想い、なんだ………。


うれしくてたまらない。


遥斗がわたしのことをずっと好きだったということをふまえると………遥斗は今まで、竜に嫉妬していたのだろうか。

わたしが竜を家に上げたときも、竜から時計をもらったときも、だからあんなにも不機嫌だったんだ。


百合ちゃんと比べられたと思ったあのときも、百合ちゃんに間違われたと思ったあのときも……

百合ちゃんには申し訳ないけれど……、ほんとはわたしのことを想っていたってことで、いいんだよね……?

わたし、自分の都合のいいように考えすぎかな……?


そんなにもわたしのことが好きなら、最初から言ってくれたらよかったのに……と思いつつ、

もしそうなっていたら、遥斗の特別はやっぱり自分なんだとわたしは天狗になっていた可能性がある。

だからやっぱり、遥斗に一度嫌われたことは、ちゃんと意味があった。

遥斗へのこの気持ちに気づくことができて、ほんとうによかった………。