遥斗は少しだけ体を離し、こう言った。


「…笑のことを忘れるために付き合いはじめたのがきっかけだったけど……この二ヶ月半ちゃんと百合に向き合って好きになろうと努力した。……でも、百合には俺の気持ち見抜かれていたんだな。さっきの放送は、百合が桂木に頼んだらしいんだ…」


「……え…っ……!?」


わたしはこれでもかっていうくらい目を丸くした。

百合ちゃんが………?

ということは、百合ちゃん自身が、わたしと遥斗の仲を取り持とうとしたってこと……?


「…百合にはほんとに悪いことした。…でも俺は、もう自分の気持ちを抑えられない。

なあ笑。この二ヶ月半、嫌な思いさせてほんとうにごめん。嫌いになんて、最初からなれるわけなかった。笑以上の女の子なんて、他にいない。笑も、俺のことだけ見てほしい。…もっとはやく、言えばよかった」


ひとつひとつ紡がれる言葉を…わたしはゆっくりと胸へしまっていった。

じわりと染みて、膨らんで…鼻の奥が、ツーンとする。


「っほんとだよ………遥斗のばか!
ばかばかばかぁ……!!」


目の前の胸をポカポカと何度も叩く。

この二ヶ月半、ほんとにほんとに苦しかった。

この苦しさが、遥斗の勘違いから始まったものだと思うと、正直すごく腹が立ってきた。