──チカチカと。
真上で光る電気に星が見えた。
大切なものをただただ大切に扱うように優しく、決して離さないようにわたしを包み込む力強い腕。
発熱してるんじゃないかっていうくらい熱くてたまらなく、どきんどきんと今ここに遥斗がいることをたしかに示している胸のなか…………
「…………………笑が好きなんだ……………」
空気に溶けてしまうのがもったいないと思うほど甘い吐息を混じえて……………遥斗はそう告げた──。
胸の奥がきゅうー……っと締め付けられたみたいに甘く苦しくなって、指先が震えた。
足も……震えそう。
わたしは遥斗のことになると、どうしてこんなにも体がいうことを聞かなくなるのだろう。
放送でも聞いたその言葉をこんなにも近くで伝えられて………これは現実なのかと、疑ってしまう。
だけど、遥斗は今、たしかにここにいる。
「……百合ちゃんは……?」
ほんとは、わたしもぎゅ。ってしたい。
ほんとは今すぐこの腕を遥斗の背中にまわしたい。
でも…“彼女”のことを思うと、それはとどまった。
しかも…わたしは昨日、二人のキスシーンを目撃してしまった。
二人は順調なはずだったんじゃ……?



