「………ほんとに、付き合ってないのか」
念を押すように確認され、わたしはその質問にただただこくこくと頷いた。
遥斗って………まさかほんとに、わたしと竜が付き合っていると勘違いしてたの………?
小さいころから頭がよくて、常に先生からほめられていて、今でもぶっちぎりの1位をキープしているあの、遥斗が………
「……………っ…なんなんだよ、それ」
はあ。とまるで深いため息をつくかのように吐き捨て、タイヤの空気が抜けたかのように扉になだれた。
えっちょ………わたしがここにいるって、わかってる?
チビだから見えてなかったとか言わないよね?
わたし、ぎゅうぎゅうに挟まってるんですけど………!
「遥斗、ちょっと………!」
なんなのって、こっちが言いたいよ………!
三週間も話してすら目を合わせてすらいなかった縁を切ったはずの遥斗と、なんでこんな頭が爆発しそうな状況になってるの?
わたしはただ、自分の気持ちを伝えに来ただけなのに──
──ぎゅっ。て。
真正面からたまらないように抱き締められ………
「…………もう絶対、だれにも渡さない……」
詰まった胸から絞り出すようなその声が、わたしの耳元で囁かれた──。



