「すごい嬉しかった…………わたしのこと………大切だって言ってくれて…………」
………好きだって、言ってくれて………。
すごく嬉しかった。
夢を見てるのかと思った。
『遥斗だーいすき!』
『おれも笑がだいすきだ!』
そんな会話をしたのはきっと保育園幼稚園のころ。
それ以来は、お互い少しずつ成長していって、「大好き」だなんて照れ臭くて気軽に言わなくなったと思う。
「遥斗には今、百合ちゃんがいるから………わたしのことは、幼なじみとしてああ言ったんだってことは、わかってる………」
遥斗の本命は、百合ちゃんだけだもんね………。
だけどそれは今、悲しむことじゃない。
悲しんでいる場合じゃない。
わたしは自分の気持ちを伝えたい──。
「でもね………遥斗。…わたしは………わたしは、遥斗のこと幼なじみとしてだけじゃなくて………幼なじみ以上に、遥斗のことが──」
──ガラッ
わたしの言葉は、その音によって遮られた。
次の瞬間扉のなかから長い腕が伸びてきて、わたしの腕をつかんでそのまま引っ張った。
「きゃ………っ」
突然のことにされるがままになって、わたしが小さな小さな悲鳴を上げたときには、
わたしの背中はすでに閉まった扉についていて………
わたしに多い被さるように、遥斗は左の腕だけで扉にもたれていた………。



