どきん
どきん…
どきん……
この中に………遥斗がいる。
心臓が口から飛び出してしまいそうなほど、胸がどきどき音をたてている。全身が脈を打っている。
このままじゃ、上手く言葉が出てきそうにない。
遥斗に聞きたいことを聞けそうにない。
そして、わたしも言いたいことが言えそうにない。
すう、と深呼吸して、少しでも心を落ち着かせる。
そして、放送室の扉を………二回だけ、小さくノックした…。
「………遥斗……?わたし……笑……」
扉の真ん前で、なんとか声を絞り出す。
けれど、中からはなにも反応がない。
この中に遥斗はいるはずなんだけど……。
「入るよ……?」
そう言って、スライド式の扉に手をかけたのだけど……
…………開かない。
鍵、かけてる……?
どうして…………?
入っちゃだめなの…………?
一瞬心が折れそうになったけれど、ここで逃げるわけにはいかない。
ちゃんと勇気出して、聞きたいこと、聞かなきゃ。言いたいこと、言わなきゃ。
…………わたしはもう逃げない。
「ねえ遥斗……さっき、竜に言っていたこと……ほんと……?」
扉の向こうにいる遥斗に……語りかける。



