馬鹿幼なじみって。
遥斗のことそんなふうに言うのは、きっと竜しかいないと思う。
「こ、これだけ聞かせて!なんで竜はわたしのためにそこまで──……」
竜は………わたしと遥斗の仲がよくなるように、あの放送を流してくれたんだよね………?
どうしてそこまでしてくれるの──?
「そんなの、決まってんだろ!……“特別な友達”だからだよ!!」
いつもの、とびきりの笑顔で。
つり目の目じりがこれでもかっていうくらい下がるその憎たらしいほど微笑ましい笑顔でそう言った………。
わたしは竜の想いに思わず泣きそうになった…。
「ほら、笑、急げ!30分だけだからな!30分後には衣装に着替えろよ!」
衣装とは応援団の衣装のこと。
「うん、わかった……っ!!頬っぺた痛かったよね、ごめんね………!!」
赤く腫れた竜の左頬。
きっと遥斗が殴ったんだ。
「大丈夫大丈夫!さっき倍返ししといたからよ!」
「ええっ!?」
竜の言葉に驚きながらも、
「竜、ほんとにほんとにありがとう………っ!!」
最後まで応援してくれた竜の隣をすり抜けて、わたしはさらに廊下の奥へとかけていった──。



