冷たい幼なじみが好きなんです



「はあはあ………っ」


100メートル走を走っているときは、すごく足が重たかった。

呼吸が乱れて、まったく思うように足も手も動かなくて。

だけど今は違う。

心臓はこれでもかっていうくらい緊張しているし、不安もいっぱいだけど………それ以外は軽い。

これならすぐにでも遥斗のもとへ飛んで行けそうだ。


ねえ遥斗。

わたし、遥斗にたくさん聞きたいことがある。

わたしは遥斗とちがってばかだから、まとまらないかもしれない。

質問も簡潔にできなくて、いっぱいいっぱい聞いてしまうかもしれない。

それでもいいかな?

うるさいわたしでいいかな?

ありのままのわたしでもいいのかな──?


「──おっせーよ!」


わたしがさっきまでいた校舎とは反対に位置する放送室がある階段まで登り詰めたところに………

待ちくたびれたように、壁にもたれた竜が立っていた。

わたしの姿を見るなりニッとした。


遅かったかな。

わたしとしてははやくたどり着いたつもりなんだけど…!!


「り、竜!さっきの放送はいったい──」

「説明はあと!とにかく今はあの馬鹿幼なじみのところへ行け!」


竜はビシッと親指を廊下の奥へ指した。