『──おーい、笑、聞いたか?今のが二宮遥斗のホ・ン・ネ。じゃあこれで体育祭特別生放送は終わりま~す』
ブチッ
竜が最後、そんなふうに締めくくって……スピーカーからは、もうなにも聞こえなくなった。
………………は?え?は………?
えっ、ちょっと………え?ほんとにほんとにどういうこと………?
さっきまでの放送は、竜が全部全部………仕組んだってこと………?
「っ笑ちゃん…!」
勢いよく、優香に肩を揺さぶられた。
硬直していたわたしはワンテンポ遅れて、それでもまだなにも発せられなくて、優香と目を合わせることしかできなかった。
「放送室!!今すぐ行かなきゃ……っ!!」
真剣な瞳で見つめられて──わたしはようやく、立ち上がった。
震えそうになる足を、教室の出入り口に向けて。
「……っ行って、くる……!」
「うん……!がんばって……!」
優香に背中を押され、わたしは向かうべき場所へと、まっすぐに向かっていった──。



