「ごっめん!!ドベだった!!」
100メートル走を終え、優香と竜のもとへ戻ってきたわたしはパチンッ!と両手を顔の真ん前で合わせた。
「笑ちゃん!!お疲れさま!!」
「さっきのレース、フリじゃね?笑以外全員背高かったもんなー!」
竜の言葉に、たしかにそうだったかもと思い出す。わたし以外の3人は、みんな百合ちゃんくらいの身長だった。
でも、そんなの言い訳だ。
いつものわたしなら、もっと早く走れた。
だけど………呼吸のリズムが狂いすぎて、手も足もまったく思うように動かなかった。
百合ちゃんの背中が遠くなっていくのを見て………
わたしは一生追い付けない存在だと頭の隅でぼーっと考えていた。
そんなんで1位なんて取れるわけなかった。
クラスのみんなにごめん!と心のなかで謝ってから、午前の部は終了したため優香とふたりで教室に戻った。
「みーぎ、ひだり、前、後ろ、前」
お弁当を食べながら、わたしと優香は、午後の部初っぱなにある応援団の、和傘の振りを言葉にしながらリズムにのっていた。