7時前になり、残っている生徒は急いで学校を後にした。
7時までにこの正門を抜けないと、なんと明日の運動会でスコアが減点されてしまうのだ。
わたしたちはみんな間に合って、正門の前でお互いに「おつかれー!」と手を振り合った。
軽い足取りで帰路につく。
もう7時を過ぎてしまったのに、7月の空はまだ少し暗い程度だ。これが冬だったら、すでにもう真っ暗だろう。
水筒のお茶が練習中になくなってしまいそれから飲み物を飲んでいないため喉が渇いてきた。
アイス食べたいな。家にアイスあったかな?
一瞬コンビニに寄ろうか迷ったが、お母さんが買っていると信じて真っ直ぐ家に帰ることにした。
いつもの坂道を下り公園を抜け、自分の家が見えてきた…………そのとき。
わたしの家は、“手前”にある。
その“奥”に建っている家の前に…………二人の男女が、立っていた。
どくんっと心臓が軽く跳び跳ねた。
遥斗と百合ちゃんの二人が…………仲よさそうに話しているのだ。
ふたりの下校場面を目にしたことはあるけれど、家の前で鉢合わせするのはこれが初めてだった。