…………ああ、どうして今。
一年前のそんな会話を、思い出してしまうの。
遥斗のプレゼントに、すごく喜んでいた自分。
そんなわたしを見て、喜んでいた遥斗。
だけど今は…………喜んじゃいけない。受け取ってはいけない。
あの日、時計を無くしたのは、もしかしたら神様が、遥斗との思い出の品なんて捨ててしまえって言っていたのかもしれない。
それならば………今受け取ってしまえば、なんの意味もなくなる。
ほんとのほんとのほんとは………すごくうれしい。………めちゃくちゃ、うれしい。
うれしすぎて、今すぐ遥斗の胸に、抱きついてしまいたい………。
その気持ちを、ぐっとこらえた。
ぐっと、こらえて………
「……いらない」
“捨てとけば”
……今度はわたしが、遥斗を傷つける。
「…今日、竜に腕時計もらった…。だから…この時計はもういらない」
遥斗、ごめんね…。
だけど、もうこうしないと、わたしは自分の気持ちがいつまで経っても抑えきれなくなる──
「──んんッ」
──ガッ、と。
力強く肩を捕まれたと同時に、勢いよく唇を塞がれた。……遥斗の唇によって。



