「え、う、うん…?」


遥斗はわたしのお願いを聞いてくれた。

わたしも遥斗の言うこと、聞かなきゃ。

なんの迷いもなくそう思った。


「……俺がいいっていうまで、目、閉じろ」


遥斗の綺麗な顔が視界いっぱいに広がっていて、それを閉じてしまうのは正直惜しい気持ちもあるが、わたしはなんの疑いもなく、瞳を伏せた。


………数秒、経って。


「はる、と……?あの…なに…っ?」


いくら暗いからと言って、こんなに間近で顔を見られるのは、いくらなんでも恥ずかしい。


いったいなんのためにこんなことを…?


そろそろ目を開けていいだろうか。


「…はあ…、笑、警戒心なさすぎだろ…」


ため息混じりにつぶやかれた言葉。


視覚を伏せているおかげで、聴覚が敏感になっている。


警戒心………?いったいなんのこと………?


こっそり目を少しだけ開くと、わたしの視界はすぐに遥斗の手のひらによって遮られた。


「俺がいいっていうまでって、言っただろ」


「あ…ご、ごめん…っ、でも、そんな近くで見ないでよ…っ」


遥斗の整いすぎている端正な顔は、変わらず目の前にあったのだ。