冷たい幼なじみが好きなんです



「あの…大丈夫…?」


とてもじゃないけど見て見ぬふりをするなんてできなかった。


あきらかに理不尽な言いがかりだし、遥斗の彼女である百合ちゃんを知らんぷりすることはわたしにはできなかった。


「…」


顔をあげた百合ちゃんはわたしの姿に目を丸くした。もともと大きな瞳が、さらに大きく開かれた。


黙ったまま、なにも言わない百合ちゃん。


あのような現場を、見られたくなかったのであろうか。


百合ちゃんはもしかして、遥斗と付き合っているためにひがまれているんじゃないだろうか。


喧嘩声の女子がわざわざ遥斗の名前を出していたし…。


こんな人気のないところで3人で1人を囲むなんて、卑怯すぎる。


わたしは今本当に偶然鉢合わせたけど…遥斗はこの事実を知らないんじゃないだろうか…。


「あの、わたし…遥斗の幼なじみ、なんだけど…」


ゆっくりと百合ちゃんに話しかけた。


わたしは本当に、ただ純粋に、百合ちゃんへの言いがかりなんてなくなってほしいだけだった。


「遥斗に…言ってあげようか…?」


きっと、百合ちゃんから遥斗には、このことは言いにくいだろう。遥斗に言えば、遥斗は絶対、なんとかしてくれる。大好きな彼女である百合ちゃんを、絶対守ってくれる。そう思ったから、言っただけなのに………