やがてエレベーターがきて、乗るとその人も乗ってくる。



…あ、男の人だ。


身長は158cmのあたしよりも結構大きい。30cmくらい違うかも…?



グレーのニット帽からのぞく金色の髪。


あたしの前に立ってるから顔は見えないけど、多分見たことのない人だ。



小学生の時にここに引っ越してきたけど、こんな人いなかったと思うし…


あ、でも、ここに住んでる人とは限らないか。誰かのお客さんかも。



エレベーターは途中の階でとまることなくポーンと愉快な音とともに5階でとまった。


グレープフルーツの彼が先に降りて、あたしもあとに続く。



って、え!同じ階!?


あ、そう言えば彼はあたしが5階を押したあと何もボタンを押してなかったっけ。


あたしの家は502号室だからエレベーターを降りて2つ目の部屋で、ドアの前で止まるとポケットから鍵を取り出して差し込む。



いつもと同じことをしていたら、隣で彼も同じことをしていた。


と、隣の部屋だった…!



お客さんかと思ってたけど、鍵を持ってるってことは多分違うよね…


って、あれ?確かお隣さんって1年前くらいに引っ越ししていってから誰も入ってないような。