ねえ、きみがすき




「西浦詩音くんだ。彼は数年前のある事故が原因で聴覚が弱くなってしまったそうで、声を出すことが出来ない。余程の大きい音でない限り聞こえないみたいだから、話すときは紙に書く…筆談ってやつでよろしく頼む」



…筆談。



きっと耳が聞こえないってしんどいよね。



先天性ならまだしも、後天性ってことは元々話せていた時、聞こえていた時があったわけだから、それって相当辛いと思う。



あたしは音楽が好きだし、歌うことも大好きだから、もし今事故とかで聴覚がなくなったりしたら、絶望するしかない。



トイプリの曲だって聴けなくなっちゃうんでしょ?

それはもう…絶望の他の何ものでもないよ。



逸らした視線を元に戻す。


見れば見るほど綺麗な顔だなあ。



「じゃあ西浦の席は───あ、あそこな」



先生は彼の肩にトントンと触れ、窓側後ろから二番目の席を指差す。


それに小さく頷いて、西浦くんはその指定された席に座った。



ちなみに彼が座る窓側後ろから二番目という席はあたしの席から前に1つ、左に3つ離れている。



だから、後ろ姿と横顔がよく見える。



目の保養だな~。