蒼の花と荒れる野獣


「そうと決まったわけじゃねえよ、和佳菜」

琢磨はそう慰めてくれたけど。

「でも」


普通に考えてよ。


日本にアメリカのマフィアが来るわけがないでしょう?


「そりゃ、和佳菜が関わってる可能性もある。だが、この街はもともと随分と荒れてる奴らが多い。何回か向こうからスカウトがきたこともあったじゃねえか。だから、そんなに警戒する必要もない。でも、警戒しないわけじゃない」


「ねえ、ちょっとまって。スカウトって何?」


「あ、和佳菜は知らねえのか。おめえ、もう中学生の頃はいなかったもんな」


勝哉がそう独り言を残すと、あたしに向かって話してくれた。