というか、そもそもの話をするけれども。
「なんで血がついてるんだろう」
「あれだろ?総長サマが殴った時の返り血がきたんだろ」
「あ、あのBeastさんか」
暗かったから、琢磨もあたしも見えなかったんだ。
男の人の顔が思い浮かぶ。
殴られていたあの人、顔がだれか分からない程に歪んでいたけれども、平気だったのだろうか。
そのまま置いてきてしまったのだが。
あたしの考えていることなどわかるはずもない慌てた昌さんが。
「てか、それより。早く血を落とさないと、シミになるよ。和佳菜ちゃんこっち来て」
颯爽とした様子で洗面所に連れて行った。



