「…和佳菜?」
「なに」
「なに突っ立ってんだ。入るぞ」
「……うん」
そう言って、手招きしている琢磨の後ろについた。
ドアノブの上についている暗証番号を琢磨が入力して、そのドアを開ける。
カランコロンと、懐かしいドアチャイムが室内に鳴り響いた。
「迎え行って来たぞ〜」
「おお、よく来たな和佳……」
昌(まさ)さんが言葉を途中で止めて、えっという顔をする。
それを見たみんなもまた、あたしの顔を見て呆然とする。
「なに、あたし変なの」
「変って言うか……」
「そ、その返り血なんだあーーー」
昌さんの前に叫んだ翔真(しょうま)が、指をさしてガクガク震えていた。
そうか、翔真は血が嫌いだったね。
忘れてた。



