琢磨はすこし笑って。
「さてと、世間話はこれくらいにして、本来の目的に入ろうか。こいつを貰って行きたいんだけど?」
その視線であらかた言いたいことはわかったようで。
「それは出来ませんね。丁度これから、この子に話があるんです」
同じくニヤリとした目で笑った綾が、目の奥で琢磨を睨んだ。
「おお…若いねえ。そんなに睨まなくても、伝わるわ。それなら、公平なやり方を取ろうじゃねえか。なあ、和佳菜。どちらに着いて行きたい?」
「なんであたしに聞くの」
「そりゃ連れて行かれるのはお前だ。決めるのもお前だろう」
「だけど!」
「Wolf、お前は自信がないのか?らしくねぇなあ。今年は強いって聞いてるんだけどなあ」
そう言えば、綾は苦しそうに顔を歪めた。



