「琢磨…だと?」
顔をしかめて急に立ち止まった、男。
あなたの頭の中なんて見えないけれど。
きっとあなたが予想してる通りだと思うよ。
「そう。獅獣(しじゅう)12代目総長、沢村 琢磨(さわむら たくま)はこの人」
その声に一瞬にしてこの場が盛り上がる。
大きな歓声が琢磨を包んだ。
「12代目って、すごく強い年じゃ…」
狼狽える人もしばしば。
俺らは凄かったんだぞ!と、酔った時だけ言っていたあれは、本当だったんだ。
話半分に聞いてきたけど。
うん、ごめん琢磨。
割と嘘だと思ってた。
今ちゃんと謝っておくわ。
もちろん、心の中でね。



