「誰のことだ」
今日何度見たことだろう。
はっきりとした、その睨みを。
「会えばわかる」
「誰だ、さっさと言え」
「和佳菜?こいつがさっきの野獣に戻る前に言っておいた方がいいよ。タイミング逃したら大変なことになるから」
「その処置はそっちに任せるわ。あたしは関係ないってことにしといて」
「おいおい。お前から突っ込んで来て。それも、ここまで言っておいて、まだならないとかいってるわけ?和佳菜を守れる人なんて、ここら辺では俺ら以外に___」
「いるけどなあ。16代目Wolf 君?」
その声だけであたしは反応する。
ああ、来たと。
安心して思わず笑みがこぼれる。
「待ってたよ、琢磨」



