「気が合うかどうかくらい自分で見定める。ついてこい、和佳菜」

そう言えば、さっきまで殴っていた男を捨てて、あたしの手を引く。

男の手についた、血生臭いヌルッとした感覚がどうも苦手で。


「あたし、先約がいるんだけど」


どうにか、その手から離れたかった。


「そんなのどうでもいい。こちらを優先しろ」



そうは言われたって。


「きっと2人も知ってるような人があたしを捜してるから」


琢磨は今頃、走り回ってあたしを探してくれているだろう。


どれだけ時間が過ぎても、連絡をよこさないあたしを。


琢磨はママと似て心配性だから、手に取るように想像できる。