蒼の花と荒れる野獣


それは氷のように冷たく、刃のように鋭くて。

あたしの心に小さな痛みを与えた。

それからあたしを見据えた。


「グチグチ言ってんじゃねえよ。うぜえなぁ。それになあ、お前。なに俺に指図してる」

あ、さっきのことを指してるのか。


「思ったことを正直に述べただけよ」


「それが指図だつってんだろ!」


「あたしは誰にも命令してない。それは、指図って言わないのよ。言いがかりはよして」

「俺を悲しむやつなんかいねえんだよ」


「いるわ、例えば、あなたの目の前の男」


今にも殴りかかりそうな勢いであたしに寄ってくる。

別に怖くなんかないけれど、その血生臭い汚い手であたしに触ろうとしないでくれない?

「あの人だって悲しいのよ。あなたの行為に傷ついてる」

「あんなの演技だろ」


「あら、あなたも感じ取っていたの?分かっているなら早いじゃない」


「違うっつてんだろ!それは、違う…!」

頭を振る男に呆れてモノが言えない。

ねえ、あなたは、綾の何をみてきたの。



「可哀想」