「…あたしはここにはいられないの」
いうつもりじゃなかった。
こんな事、仁に弱味を見せるなんてそんなこと。
するつもりは決してなかったのに。
ここじゃなかったら、あたしはお祖父様のいるあの家へ行くことになる。
毎日、虐められる。
それは嫌なの。
そんな気持ちがぐるぐるとあたしの中を回り続ける。
獅獣を取りたかった、選択肢にあるのなら。
だけどないのなら。
あたしの道はこれしかない。
「今聴いてんのは、そういうことじゃねえだろ。ここに居たいか、居たくないか。それだけだ」
「希望を抱くのはもうやめたの。ママがどれだけ心配しているか、あたしは知っているから。ママのために、あたしは行くの」
「お前が優先すべきことは、ママじゃねえだろ。自分だろ」
「あたしだって!そうしたかった。みんなとここに居たかった。だけど、許されないの!イギリスか、お祖父様の家か。あたしにはどちらかしかないから」
涙は余計に溢れてくる。
お別れなんて、したくなかった。
バイバイと言われたくなかった。