それから仁に向き直ると。

「仁君、ここから移動しないのを条件になら、和佳菜と話してもいいわよ」

「…分かりました。ここで話します」

「よろしい」

ママは花のような笑みを浮かべると、ウエイターに10000円札を1、2、3……6枚ほどをさらりと渡し。

「これで2時間分の料理を」

と、注文を出した。

「ママ!」

「機内の昼食はママが食べてあげるから、ゆっくりしなさいねー」


背を向けて手を振ると、ママはレストランからいなくなった。