「今すぐにそれを解くことは」
「しないわ。和佳菜の意思よ。私はそれを汲んだだけ。私に頼むこと自体間違えているわ」
「和佳菜が……?」
「貴方の元から去りたいのだと。そう言って泣いたわ」
「ママ!」
泣いたなんて、嘘を。
声音は震えていたかもしれないけど、あたしは決して泣いていない。
だけどママはあたしに黙るようにと、微笑むと。
「さあて、王子様。貴方は納得していないようね。和佳菜と話したいのでしょう?ならばどうするのが最善か、貴方なら分かっているわよね?」
「……お母様」
すっと、しゃがみこむと。
「ちょっと、恥ずかしいじゃない!」
あたしの声に反応1つせずに。
静かに土下座をした。
「…仁君」
「はい」
「貴方達と和佳菜との距離をとらせるよう命じたのは、私よ」
「ええ?」
「はい」
あれは、琢磨が勝手にやったことじゃないの?
誰も疑問視しないけど!
「……なぜそうさせたか、わかる?」
「想像の範囲ですが、予測はついてます」
「話してみなさい」



