ママは黙ったままだ。

「うちの一味の人間から、和佳菜が退学届を提出したという話を聞きました。本当ですよね?」

ママはなにも言わない。

「1つ、謝らなければならないことが」

そこでようやくママは。

「なに?」

とだけ口を動かした。

「和佳菜の動向をずっと探らせていただいておりました。和佳菜がアクションを起こすタイミングがこの時だと踏んでいたとはいえ、女性のプライベートに踏み込んでしまったことは深く反省しております」

「それは、私に言うことではないわよね?誰に言うか、分かっている?」

「…和佳菜、ごめん」

この人がこんな風に謝るなんて知らなかった。

いつも気高く、強気な、王様みたいな貴方が、そんな表情をするなんて。