「仁君と話さなくていいの?」

「いいの。あの日もう話はしたのだから」

「でも、あれから……」

ピーンポーン……!

わかる。

ママの言いたいことは分かっている。

今だってそう、だれが来たかあたしはわかる。

この時間だから、予想がついてしまうのだ。


「何度来たって無駄なのに。あたしはもう会わないって言っているのだから」

インターホン越しにあたしを見つめる仁に、言うことはない。

あの日から、毎日会いに来る仁にため息ばかりが漏れる。