「だけどそれだけです。皆さんには、沢山の迷惑をおかけしました。総長命令で、抜けた女を探すなんて、さぞ嫌だっただろうにと、本当に申し訳なく思っています。だから今回、この経緯の説明と、謝罪に来ました。そしてもう、皆さんとは関わりません。本当にすみませんでした。あたしを救ってくれて、ありがとうございました」
深々と一礼すると。
あたしは仁に綺麗な笑顔を見せた。
「さよなら」
あたりがざわめくのを確かに感じた。
でも知らない。
あたしは、貴方たちを忘れる。
それだけ、それしかない。
怒号が飛び交ったって、例え殴られたって。
あたしは決めた。
もう迷わない。
だって、仁。
貴方の望みはこれなんでしょ?