それが何故なのか、あたしだってわからない。

それでも、止めなければならないと強く感じるのは。


ロボットじゃなくなった、きっと本物のあたしがいるから。

よかったね、まだ。


まだ、あたしはロボットじゃない。


強い言葉でなおも言い続ける、見知った男。


でも、彼だって本当は諦めている。

あたしと同じように。

言ったって効かないって、分かっている。


だから、今身を投げ出して殴られている男を助けようとしないんでしょ?

声でしか対応しないんでしょう?

だけどね、違うよ。

声しか出さないあなたは間違えている。

あのひとは変われるよ、きっと。

これはただの勘だけれど。


きっとそうなれるって、あたしは信じてる。


「俺はお前を人殺しにはしねえよ。そうなったら、俺はお前を許さない」

不意に助けたくなる。

大丈夫だよ、変われるよ、そう言いたい。

だけど、あたしは自制する。

ダメだ、関わるな。

いいことなど1つもなかったでしょ?


「お前に許されなくても構わない」


「嘘だって知ってるよ」

「嘘じゃねえよ。俺が嘘をつく理由はねえ」

「違う!」


「違わねえ!昔の俺は終わったんだ。もう俺に構うな!」






「誰かが悲しむなら、それはしてはならないことだと思うわ」