「なにが?」
「俺だけがお前に会えないのが寂しくて、俺だけが、お前と会えて嬉しいのかよ」
それでようやく分かった、仁が求めているものが。
「ねえ仁。言葉にしなければ、きっと伝わらないだろうから、言葉にするけど」
「なんだよ」
「あなたはずっと前からあたしの特別だよ?」
だから、駄々っ子みたいに拗ねないで。
とっくにあなたは、あたしの特別な人なのだから。
「特別ってどういうことだ」
「仁はさ、誰があたしに見切りをつけても、決して諦めなかったし、あたしを探すのに全力だった。警察だって、ママだって、最初は寄り添ってくれていたけど、マークへの依存のせいで呆れ、心は離れていった」
「そんなはずは」
「ないって、思うでしょう?だけどあるの。ねえ、こうしてここに来られたのも、病院に連れて行ってくれたのも、マークのことは忘れていないけど、まだ思い出にも完全にできてはいないけど。少しずつ、貴方が塗り替えていってくれているのよ?」
「…和佳菜」