「そうか?」
「そうよ、後ろからのそっと出てこないでよ。驚いたじゃない」
そういいながら、彼の側からそっと離れた。
その寂しそうな目に何故かあたしが傷ついてしまう。
避けたあたしに傷つく権利なんてないのに。
「何よ」
傷つかないでよ。
あたしには、まだマークしかいないのに。
あたしの好きは消えないどころかますます締め付けるように強くなっていくというのに。
ねえ、分かっているのでしょう?
それを全てを。
「お前、マークのことはどう思ってる?」
「…好きよ、ずっと」
変わらずに愛し続けてしまう。
なんで分かっていて聴くのだろう。
貴方はきっと知っている。
それを間違えなく、感じている。
「薬は?」
「飲んでるわ。もう習慣になったのよ」
「効いてないのか?」
「知らないわよ。でも、マークは消えないわ」
今もなお、はっきりと……。
「まあ、今はまだ様子を見ればいいか」
彼の独り言は無視をして、自分用に入れたコーヒーに口をつけた。
砂糖もミルクも入れないブラックが、今のあたしには妙に合って。
インスタントの万人ウケする味が、なんだか好きだった。



