ブチリと、大きく音を立てて、カプセル状の薬を取り出す。
その音だけが、静かな車内にこだました。
「お前の側に、ずっとい続けるためだよ」
「居たって良いことはないわよ」
「そんなの俺が決めることだ」
最初に薬を口に入れ。
それから水を口に僅かに含むと、ゴクリと音を立てて、薬を流し込んだ。
苦い苦い、薬が。
口の中に広がって、吐き出したい衝動に駆られる。
「…変な人」
吐き出されたのは、薬ではなく、言葉で。
「どう言われたっていいわ」
平然と返した、仁の思考は少しも読めなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…