連れていかれたのは精神科で、色々な質問を受けたけれども、その内容はよく覚えていなかった。

なんとなしに、診察を終え、薬を処方された。


前向きになれるようにするための薬らしい。

詳しいことは分からない。

興味もなかった。

何故って、あたしにはマークしかいないから。

彼以外に、あたしが求めている人はいないから。

「…疲れた」

ここ最近、殆ど建物から出ていなかったからなんだか凄く疲れが出た気がする。

「今日はゆっくり休め。…明日は迎えに行ってやるから、学校に来ねえか?」

「え、学校ですって?」


「綾にも、翔達にも会ってねえだろ?みんな心配してた」

「…そう、なの」

「ああ、会いたくねえか?」

「会いたいか、会いたくないかと聞かれたら、会いたくないかしら」

まだ怖い。

今でも、マークに溺れているあたしを。

琢磨のせいとはいえ、さよならも告げずに獅獣のみんなの前から姿を消したあたしを。

彼らは、許してくれないかもしれない。

例え、奇跡が起こって彼らが許してくれたとしても、あたしが自分を許せない。

あたしにはマークしかいない。

今でも、そう思ってる。

だから、これ以上マーク以外の人には関わらないようにしたい。

仁と会うのもこれで最後がいい。

あたしの居場所は、マークの隣以外にありえないの。