蒼の花と荒れる野獣


「外、出てくる」

家の中になんか居たくなかった。


とにかくママから逃げ出したくて。


ママの返事も聞かずに、何も持たずにマンションから飛び出した。



だからといって、どこか宛があるわけではない。

「…どこに行こう」

灼熱の太陽の下で彷徨うあたしが気づかぬうちに、もう7月になっていた。

もうすぐで夏休み。

あたしは毎日夏休みのような生活をしているから、関係ないけど。

実務的な何かをすることがない日常はつまらなくて、でも考えなければならないことは山ほどあって。

そんな人生にうんざりして、空を見上げて。

青空が綺麗なのが余計に腹がたって。

「嫌な感じ」

誰に言うわけでもなく、ポツリと呟いたその言葉を。


「…和佳菜?」


誰かに聞かれているとも知らずに。