「実家、って…あの」
「お祖父様達が住んでいる家よ。あそこは妹夫婦も、従兄弟の照史(あきと)君も、舞花(まいか)ちゃんもいるから、寂しくないはずよ」
優しげに微笑んだママの目は、腫れていて痛々しかった。
「え、でも、あたしはママに言ったよね?日本に住む時のお願い。実家にだけは住みたくないって」
それでも譲れないものはある。
日本を勧めたのは、ママ。
ロンドンよりも、ずっと日本の方が安全だからという言葉には、あたしだって賛成だった。
だけどあたしの願いも1つは叶えさせてもらいたいと言った。
なぜなら。



