「和佳菜、いい?何があっても、死んではダメよ。貴方の命は人に殺される為にも、自分で自分を殺すためにも、産まれたわけではないの。貴女の命を、自分で手放してはダメなのよ」
あたしの両腕を掴むと、宥めるように諭すママ。
ママの言いたいことはよく分かる。
でも、気持ちはね、正論だけで成り立つものばかりではないの。
どんなに正しくたって、それがあたしの正解に当てはまるわけではないの。
ねえ、ママはきっとそれを知らないのでしょう?
だから、あたしに無責任な言葉を幾らだって吐けるのでしょう?
いつもだったら、そんな言葉が頭で考えたすぐ後に口から出てくるのにそれさえも出てこなくなった。
「いい?和佳菜、約束して。もう自ら命を絶たないって」
「……」
「いいね?和佳菜、聴いてる?」
「……」
「和佳菜!」
「…うん、ごめん」
反論する気にもなれなくて、ただ…どうしたらいいのか分からなくて。
泣くママの背をさすりながら、ぼんやりとマークのことを考えていた。
それから、何日か経って。
ママがこんな提案をした。
「ねえ、和佳菜。実家に戻りましょう?」



