「和佳菜…」
ママが眉根を寄せたことを、見ないふりをした。
「ごめんなさい。部屋に行くね」
ママに心配かけたいわけじゃない。
だけどそれを考えることも出来ないまま、どかりとベッドに寝転んだ。
今日の朝ご飯を食べ終えてから、2ヶ月ほど居なかった間のことはある程度教えてもらった。
お祖父様がママにも、琢磨にも内緒でスティーブン家の人間をパーティーに呼び寄せて、進まないスティーブン家の商談を進めたいと考えていたことや。
それを逆手にとったスティーブン家が、パーティーの参加者をすり替えて、全員を内通者に仕立て、お祖父様とその側近以外が騒ぎ立てないようにあたしを奪うことを計画していたこと。
琢磨はここから10キロくらい離れた林に捨てられていたところを警察官に見つけてもらい、無事だったこと。
琢磨から連絡をもらったママが緊急帰国して、捜索願を警察に提出して、警察がずっとマークの行動を見張っていたこと。
それで2ヶ月は長すぎるとママは言っていたけれども。
他にも、怪我治りきならないうちに琢磨が血眼になってあたしを探していたことや。
それに獅獣のみんなが加わってくれていたこと。
お祖父様がとても反省していたことなどをママは話してくれた。